不動産 売りたいにライバル出現!
あなたは自分で払う税金に関心がありますね。
多くの読者は何らかの税金を払っているはずです。
身近な問題だし、相続税などになると人生を変えてしまうほどの一大事です。
日々の買い物に消費税がつくようになって、ますます関心が高まらざるをえない。
事業者なら当然ですし、給料が銀行振り込みのサラリーマンでも「税金が高い。
減税がないのはおかしい」といつもぼやいていませんか。
税法の改正などという新聞の見出しをみれば、記事も読むでしょう。
ある意味では税金以上に身近で、重要であるのに、あなたがほとんど関心をもっていないし、その存在さえ知らないできた問題があります。
都市計画法をめぐる問題です。
いくつかの質問をさせてください。
あなたは市街化区域に住んでいますか。
それとも市街化調整区域でしょうか。
ほとんどの読者はいずれかの区域に住んでいるはずです。
それでは、あなたが市街化区域に住んでいるとして、お住まいの用途地域は何でしょうか。
第一種住居専用地域でしょうか、・第二種住居専用地域ですか、それとも商業地域でしょうか。
ほかの用途地域かもしれません。
あなたは八つある用途地域のいずれかに住んでおられるはずです(一九九六年頃には十二になります)。
それから、これもきわめて重要なのですが、あなたの地域の容積率は何%ですか。
都市計画法による用途地域や同法と表裏の関係にある建築基準法による容積率がどう指定されているかで、あなたの生活にも人生にも大きな影響があります。
用途地域や容積率が変更されれば、どうなるのか。
あなたの家の隣に、あるいはあなたの住む住宅地に、マンションが建つ。
あるいは、二十四時間営業のコンビ二が出店する。
オフィス・ビルまで進出し、一階はファースト・フードのチェーン店が入った。
地域の商業地化で地価が上がり、住宅地にまで波及する。
その結果、相続税は払えないほど高額になる。
あなたの周辺でこんなことが起きていませんか。
いま起きていなくても、あすはわが身です。
決して安心できません。
しかも、世界でも日本だけのようですが、用途地域の変更は、普通の市民が目にしたことのない建設省の通達をもとに全国一律に、しかもほぼ定期的に繰り返されています。
外国では「国家によるジァゲ」と不思議がられています。
大規模な変更作業は、まるで人目をおこなわれるため、その重大さに気がつく人はほとんどいません。
ある日、突然、隣に高いマンションが建つなど、町の様子が急に変わってから気がつくのが普通です。
それでは、手遅れなのです。
実は、あなたの町ばかりではなく、京都の景観や町屋の破壊、バブル時代の全国的な地価と住宅価格の高騰、自然を破壊するゴルフ場やスキー場などのリゾート開発、日本経済を成長させた土地の含み資産、金丸信前自民党副総裁をめぐるスキャンダルに象徴されるおそらく日本で最大の構造汚職、……大げさにいえば、戦後のあなたの生活も、お店も会社も、いや日本そのものが、ある意味では、多くの読者にあまりなじみのない「都市計画法」を軸に回ってきたといえるのです。
この本で筆者たちは、世界の常識では考えられない日本の都市計画の仕組みや運用、引きおこしてきたさまざまな問題をできるだけ分かりやすく報告し、そのうえで、日本の最大の問題である地価、住宅をふくむ都市問題の解決への具体的な処方菱をお見せします。
この処方菱は、日本の腐敗の構造を変え、改革の一つの焦点である地方分権を実現する特効薬でもあるはずです。
相次ぐ相談筆者の一人、I十嵐の法律事務所には建築に関するさまざまな相談が持ち込まれる。
なかでも都市計画法で指定されている用途地域にからむものが多い。
たとえば、神奈川県川崎市のサラリーマンからは、自分の住んでいるところは第一種住居専用地域(一専)で低い建物しか建てられないと思っていたら、目の前に五階建ての市職員宿舎が建つ計画が持ち上がって驚いている。
調べてみたら、第二種住居専用地域(二専)になっている。
日照がほとんどなくなり生活に大きな影響がでるし、軟弱な地盤なので沈下のおそれもあるので計画変更を求めると、市は宿舎の建築は適法だといい、強引に建築を進めようとしている。
近隣の人々は反対しているが、どうしたらいいのか、という相談だ。
東京都の個人商店主からは、自分のところは一専なのに、十二メートル道路を隔てた反対側の地域は一九八九年の用途地域の変更で商業地域に指定替えになった。
近所の人たちは変更に抗議したのだが、むだだった。
最近、心配していたとおり、向かいに六階の店舗とマンションの兼用ビルが建つというウワサを聞いた。
そうなったら、日照も奪われるし、入居する店舗の業種によっては商売のうえでも重大な打撃を被る。
いまからどのような反目黒区自由通り一九八九年十月一日、東京都二十三区と都下二十一市の用途地域の変更が実施された。
そのなかで目黒区の自由通り沿道約二・五キロメートルにわたり、通りから東西それぞれ二十メートルが第一種住居専用地域から第二種住居専用地域に変更された。
同じ住居専用地域といって対運動ができるか、というものだ。
逆に高いビルを建てたいという人もある。
二階建ての店を改築して高層化し、上をマンションにして老後に備えようと、近隣商業地域を商業地域に指定替えしてもらう署名運動に参加して、成功した。
いざ建てようとしたら敷地が狭くて高層化はむりだ、といわれた。
どうなっているのか。
こんな相談も舞い込んでくる。
立場の相違はあれ、本人たちにとっては、自分の住環境ばかりか、人生設計にまで影響をおよぼす深刻な問題だ。
これほど重要な用途地域は、実際にどんなことを意味しているのか。
その一例として筆者たちが近くに住み、日常的に観察している、世田谷区と目黒区の境界線付近を南北に走る自由通りの事例をみておきたい。
も、一種と二種では雲泥の差がある。
自由通りはそれまで、建築物の高さは十メートルに制限されていた。
また北の約三分の一は、戦前からの大規模地主などが住み、畑も残る地域で建蔽率は五○%、容積率は一○○%だった。
それ以南の建蔽率は六○%で、容積率は一五○%だった。
建蔽率は建築面積の敷地面積に対する割合のことだ。
五○%であれば、建物は敷地の半分まで建てられる。
容積率は、建物の総床面積の敷地面積に対する割合である。
建物の延べ床面積が二百平方メートルで敷地が百平方メートルなら、その敷地の容積率は二○○%ということになる。
自由通り沿道のこの用途地域の変更により、まず高さの制限がはずされた。
北では建蔽率が五○%から六○%に緩和され、容積率は一気に二○○%へ引き上げられ、南の三分の二の地域でも、建蔽率は六○%のままだったが、容積率は二○○%に緩和された。
はじめにおきたのは地価の高騰である。
敷地によっては一専にくらべ二専では、二倍以上の高さの建築が可能になるのだから、それだけ土地の価値も上がる。
この区域に住む不動産業者が「いままで一万円札が百万枚敷き詰められていた土地に、ある日、お上が突然、二重、三重に敷き詰めてくれるのだから、土地持ちは笑いが止まらない」と解説したとおりだ。
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